自死(自殺)によってかけがえのない人を失うという経験は、遺された人に様々な影響を及ぼします。その一方で、死別という危機において人はただ無力に打ちひしがれるだけではありません。遺された人はそのグリーフ(悲しむ営み)のプロセスを通じて、その人らしいやり方で故人の死を意味づけようとします。
死別後におこりやすい反応
<心理的反応>
- 悲しみや抑うつ、幸福感の喪失
- 「勝手に死ぬなんて」といった故人に対する怒り
- 「○○のせいで亡くなったんだ」といった他罰感などの強い攻撃的な反応
- 「自殺したなんて信じられない」といった否認
- 亡くなった原因や説明を求める
- 「いつか自分も自殺してしまうかもしれない」といった論理的には根拠のない不安を抱く
- 故人の命日や誕生日などのあらゆる契機で故人のことを思い出す
- 「私にあの時、何かできたのではないだろうか」「自殺を止めることができたのではないだろうか」と強い自責の念を感じる
- それまで身近にいて故人の苦しみや悩みをいつも感じていたために、あるいは繰り返される自殺未遂に翻弄され疲れ果てたために、「正直ほっとした。」「安心した。」という気持ちを抱く
- 故人に対して「苦しみから解放されて良かった。」と思う
グリーフは非常に個人差の大きいものですが、上に挙げられた反応は身近な人の自死(自殺)による死別後によく起こるグリーフの特徴です。また身近な人を自死(自殺)で失うという経験は、遺された人にトラウマ的な影響を及ぼすことがありますが、亡くなった現場などを目にした場合などはその影響が顕著に現れることがあります。
<身体的反応>
食欲の変化(食欲がなくなる・食べ過ぎる)
体力の低下(疲れやすい・体重が減少する)
睡眠の変化(眠れない・途中で目が覚める・恐ろしい夢をみるなど)
胃腸の不調(胃の痛み・下痢・便秘など)
これらの反応は、大切な人を亡くすという経験においてはごく当たり前のものではありますが、長期間にわたって症状が認められたり、日常生活を送るのが困難になるほど強い症状がある場合には、医療機関等で適切な治療を受けることが、助けとなります。
なおグリーフは上で述べたような心理・身体的反応に留まるものではありません。近年では、むしろ死別後の世界をどのように生きていくのかという能動的、主体的な側面が重視されています。
たとえば遺された人は死別後に3つの学びなおしに取り組むと言われています。すなわち、豊かで愛に満ちた関係をいまは亡き人との間でむすぶ「故人との関係の学びなおし」、故人のいなくなった世界で生きるすべを学ぶ「世界の学び直し」、そして自己やアイデンティティという織物を編み直す「自己の学び直し」です。
身近な人が亡くなった後の各種手続き
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